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2020年8月 1日 (土)

「新型コロナ恐慌」後の世界/渡邉哲也

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 感染の終息が長引くほど、中国への反発と中国離れが加速していくことになる。同時に、グローバリズムが終焉していくことになるだろう。

今回のコロナショックによって、二つのことが起こるといっている。

一つは中国離れ、そしてもう一つはグローバリズムの終焉である。

平成はグローバリズムの始まりの年でもあった。

1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊すると、翌年には東西ドイツ統一が実現。

そして、91年12月のソ連崩壊へと一気に進み、戦後長らく世界を分断していた東西冷戦が終結した。

米ソ対立に勝利したアメリカは覇権国となり、アメリカ支配による平和の時代、「パックス・アメリカーナ」が訪れたといわれるようになった。

資本主義が共産主義に勝利し、敵対国家が消滅したことで、世界に統一ルールに基づく資本主義を広げ、「ワンワールド」を実現しようという考えが広まった。

国境という壁をなくし、ヒト・モノ・カネの移動の自由化を実現する。

それによって世界経済はより効率的になり、世界の人びとはより豊かになることができる。

これがグローバリズムである。

冷戦時代の大きな国家から、国家の役割を小さくし民営化を進める「新自由主義」と呼ばれる経済政策路線が主流となり、これがグローバリズムを後押しした。

だが、ヒト・モノ・カネの移動が自由化されると、先進国の企業はこぞって低賃金の開発途上国へ生産拠点を移し、そのなかから世界中で生産、販売を展開するグローバル企業が誕生した。

そして、グローバリズムの恩恵を受けて急成長したのが中国であった。

豊富な資源と人件費の安さによって、多くの企業が中国に進出した。

中国はその技術を盗むことによってどんどん発展していった。

習近平政権になってから、中国はヨーロッパ、アフリカまでを陸路や海路で結ぶ「一帯一路」構想をぶちあげ、沿線国に対してインフラ建設への支援をもちかけてきた。

しかし、その実態は、「支援」といいながら高い利率で融資を行い、その国が返済不能になれば、建設したインフラの使用権を中国が奪うという「サラ金」的手法を展開している。

たとえば、スリランカのハンバントタ港などは、中国の融資を返済できないため、インフラの99年間にわたる使用権を中国側に渡すことになり、地元住民の反発を招いている。

そして今回のコロナである。

コロナ禍は中国の隠蔽体質を見事にあぶりだした。

多くに国が中国に反発した。

さらに最近の香港問題である。

今、アメリカは完全に反中国に変わった。

一部のメディアでは、ファーウェイをはじめとする中国企業の排除について、トランプ大統領の一存で行われているように報じられている。

しかし、これは2018年の国防権限法とEARというアメリカ議会が成立させた法律に則った措置であり、トランプ大統領は議会の指示に従っているにすぎない。

もしも大統領が何もしなければ、逆に国防権限法に違反したことになるのだ。

中国での新型コロナウイルスの感染拡大は、アメリカ企業の中国撤退をうながすという点で、EARによる中国との関係断ち切りをさらに加速させることになるだろう。

今回の事態は、世界に「チャイナリスク」を強く印象づけるだけでなく、中国のカネに依存してきた人たちをあぶりだし、彼らに大きなダメージを与える結果になった。

中国人旅行客が来ないため収入が途絶え、ウイルスの拡散によって国内の利用者も激減し、資金ショートによる倒産が進んだ。

日本は、内需がGDPの85パーセントを占める国である。

中国人のインバウンドが経済全体に与える割合は、せいぜい1パーセントにすぎない。

それに対して、日本人全体の消費や生産がとまった場合の影響は計り知れないものがある。 

日本は内需主導の国であり、インバウンドが期待できないならば、内需拡大のために具体的な施策が必要になる。

デフレの要因はさまざまだが、デフレ脱却には製造業の国内回帰と賃金の引き上げが重要である。

安易に外国人労働者を受け入れるのではなく、高付加価値の商品を日本人がつくることが重要である。

コロナ前と後とでは、全く違った世界になっていることは間違いないだろう。

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