傾聴のコツ/金田諦應
「傾聴」では、相手が語ることに対し、まずは「全肯定」します。
どんな理不尽なことでも、非論理的なことでも、最初は肯定してあげるのです。
相手の話を聴くこと。
これは意外と難しい。
一度、傾聴の研修を受けたことがあるのだが、本当に難しいし奥が深いと思った。
傾聴では相手の話を決して否定しない。
すべてを肯定する。
相手の話を「全肯定」するときに、聴く側は「自己否定」をすることが必要だ。
傾聴の場は、善・悪を判断をする場ではない。
相手のいうことを、まずは「そのまま」「あるがまま」に受け止めて、共感なければならない。
これが難しい。
どうしても自分の意見を言いたくなる。
それをグッとこらえて聴くのである。
話の途中で口をはさみたい気持ちが起こったら、自分の心のどこかに、「相手が間違っている」「相手に教えてあげよう」「相手を導いてあげよう」という気持ちがないか、点検してみることだ。
傾聴では「待ち続ける」ことが何よりも大切。
「待つ力」をつけるためには、口をはさみたくなるのをグッとこらえること。
そのことに尽きる。
ナチスの強制収容所での経験を書いた『夜と霧』の著者である、ヴィクトール・E・フランクルは「ロゴセラピー」という心理療法を提唱した。
ロゴセラピーではそれぞれの人間の人生には独自の意味が存在していると考え、その人の持っている「レジリエンス」(自己再生能力)を徹底的に信じる。
自分を再生させていく能力に対する絶対的な信頼。
必ず人間は生老病死のその苦しみの中で生きるのだけれども、その苦しみを背負って歩いていける。
そういう能力を持っている。
人間ってそういうものなんだ、という絶対的な確信を持って傾聴にあたることが必要。
もはやこれは「信仰」の領域といってよい。
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