「コロナ以降」中国は世界最終戦争を仕掛けて自滅する/宮崎正弘
中国人の性格は二重人格が標準。石川五右衛門が長谷川平蔵に変身することに矛盾を感じない。つまり放火犯が消防士に化けたのが、各国にマスクを提供するという中国の「マスク外交」である。中国では、泥棒が逃げるときには、泥棒を追いかけるふりをするのだ。
コロナ以降、世界の中国への向き合い方が変わるのは目に見えている。
というか、もうすでにアメリカを中心に世界各国でその動きが出てきている。
著者が中国の状況をつぶさに観察していくと、次のような悲惨な実情が把握できるという。
第一は中国の社会的難題の深化である。
共産党幹部とその親族だけが豊かな暮らしをなし、全体を俯瞰すると富と貧困差の激しい拡大という現実がある。
「不平等の恒久化」は末端民衆の不満を堆積させる。
怨念の鬱積が深く沈殿している。
都会へ流れ込んだ流民も、不況となって建設現場にも職がなくなり、さらに貧窮化する。
貧富の構造が固定化しつつある。
第二に中国の外交的難題が一向に解決されず、明らかな矛盾があちこちで露呈したことである。
軍事力と豊饒だった外貨をバックに、台湾との断交を迫るなどの脅迫的外交、その強引すぎた中華圏拡大に軋みが出てでた。
習近平が目玉としてきた壮大なシルクロード・プロジェクト、すなわちBRI(一帯一路)が世界各地で蹉跌している。
第三は中国の内政問題の矛盾が露呈し始めていることだ。
デジタル機材を駆使しての国民監視システムはほぼ完成した。
と同時にAI全体主義システムの弱点が露呈した。
日本の産業界の認識ではAIの開発は平和目的であり、経済の効率化、暮らしの向上を目ざした発明であるにもかかわらず、中国は最初から軍事転用だけを狙った。
コロナを機に、世界の中国への見方が明らかに変わってきた。
特にアメリカはそれが露骨にあらわれてきた。
この結末はどうなるのか。
もし通常戦争が勃発しても、それは局地戦に留まるか、代理戦争のレベルでおさまるだろう。
というのも、核兵器をお互いが飛ばしあうとなれば、人類の滅亡につながる。
そのことは、米中ともに共通認識であり、世界の常識である。
だが、現在の米中対立は事実上の戦争状態である。
高関税をかけあった貿易戦争は、ファーウェイ排除などハイテクの争奪をめぐる技術戦争に移行している。
サイバー戦争も見えないところで進行中だ。
次に中国の在米資産の凍結といった金融戦争となるといわれている。
これらの動きは今度ますますエスカレートしていくのか、それともどこかで歯止めがかかるのか?
目が離せない。
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