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2020年8月25日 (火)

Think CIVILITY/クリスティーン・ポラス

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 突き詰めれば、最も重要なのは人間関係である。そして、礼節は人間関係の基礎となる。他人に対する態度、ふるまいに常に敬意があれば、それは自分自身を前進させることにつながるし、キャリアにも必ず良い影響をもたらす。他人と良好な関係を結ぶのに役立ち、人生を良い方向に導くことになる。

企業の問題の半分以上は人間関係にかかわることだという実感が私にはある。

多くの場合、いい人間関係の職場は生産性も高い。

逆に人間関係がうまくいっていない職場は生産性が低い。

そしてその人間関係を壊す一番の原因は無礼な言動である。

上司の無礼な言動には、大きく分けて次のような種類がある。

部下を人前であざける、軽く扱う。

部下の仕事ぶりを常に過小評価し、自分の組織の中での地位は低いと思い込ませる。

部下を心が傷つくほどひどくからかう。

成功した時の手柄は自分のものにするが、何か問題が生じた時には他人のせいにする。

どの場合でも、重要なのは、その言動が本当に相手に対する尊敬や配慮を欠くものだったかどうか、ではない。

重要なのは、された方がどう感じたかである。

尊敬や配慮を欠く扱いを受けた、と相手が感じるかどうかだ。

言動が相手の目にどう映ったかが問題となる。

そもそもなぜ、礼節は悪化し続けているのだろうか。

理由としてグローバリゼーション、世代間ギャップ、職場環境や人間関係の変化、テクノロジーの進歩などがあげられる。

何れにしても、現代の私たちが、自分にばかり目を向け他人にはあまり目を向けないというのは事実だ。

そのせいで、他人の扱いが無礼なものになってしまい、結果として皆に害をもたらしているわけだ。

職場に無礼な人がいると、そこで働く人たちの心の健康にも悪影響があることが、調査によって明らかになっている。

当然、ストレスには他の要因もあり、私生活で無礼な人に会うこともあるので、そのストレスの影響もあるだろう。

だが、それを考慮したとしても、職場の無礼な人たちが心の健康に与える悪影響が大きいことは疑い得ない。

アメリカ心理学会の試算によれば、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは1年に5000億ドルにものぼるという。

なんと仕事上のストレスが原因で毎年5500億日もの就業日が失われ、職場で発生する事故の60~80パーセントはストレスが原因で、アメリカ人の通院の約80パーセント以上がストレスに関係しているとも言われる。

無礼な言動と対をなすのが礼節ある言動である。

礼節ある態度とはたとえば、人に感謝する、人の話をよく聞く、わからないことは謙虚に人に尋ねる、他人の良さを認める、成果を独り占めせずに分かち合う、笑顔を絶やさない、といったことを指す。

礼節ある言動とは、つまり相手を丁重に扱う言動ということだが、必ず心から相手を尊重する気持ちがないとうまくはいかない。

見返りに相手から何かを得よう、自分の属する企業の利益につなげようという気持ちが背後にあると、いくら相手を丁重に扱ったところで意味がなくなってしまう。

礼節ある言動はよい効果をもたらす。

まず言えるのは、礼節ある人には、「声がかかりやすい」ということである。

何かを一緒にやろうと誘われる機会が多くなる。

礼節ある人はそうではない人よりも、たやすく大きな人的ネットワークを築くことができる。

ネットワークが大きくなればそこに有能な人が含まれている可能性も高まるだろう。

人は尊重されると、自分に価値があると感じ、力を発揮することができる。

リーダーの礼節ある態度は部下の気分を高め、その人が属するチームや企業の業績も上げることができる。

敬意はほんの些細な態度に現れる。

それだけで得られる結果は違ってくる。

より礼儀正しくなるには、また、礼儀を重んじる文化を組織に根づかせるには、まずは基本に目を向ける必要がある。

常に周囲の人に気を配ること。

他人の立場でものを考えること。

笑顔でいる時間を増やすことも大事だろう。

一つひとつは難しいことではない。

どれも皆が幼稚園の頃から教わってきたはずのことである。  

礼節ある言動とは、いわば人として当たり前の言動である。

基本に目を向け、基本に戻ろうということだと思う。

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