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2020年9月10日 (木)

弟/石原慎太郎

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 力んでいうつもりはないが、彼が映像にして提供したあれらの日本人たちこそが、戦さに敗れた後のこの国をここまでにしてきたのだと思う。そして弟こそが初めて、映画という華麗な世界を通じて多くの日本人に、自分たち自身がどんな人間なのかを覚らせたのだと思う。

著者の実弟、石原裕次郎について、兄の目でその生い立ちから52歳で逝去するまでを綴っている。

私自身の印象は裕次郎は最後まで裕次郎だったということ。

うまい役者はたくさんいる。

自分の個性を殺し、役になり切ってうまく演じる役者はたくさんいる。

しかし裕次郎はどんな役を演じてもどんな歌を歌っても裕次郎だった。

これは簡単にできるこではない。

裕次郎はその一生の中で意識せずに三度、その時代に応じてある本質的なものを演じた、というより体現してみせた。

最初は台頭してくる消費文明を表象する青春像。

次いで時おいて、その年齢にかなうタフだが思いやりある懐の広い父親のイメージ。

そして最後は、老年というには早かったが、人間誰しもが味合う自らの肉体の凋落と、その向こうに見えてくる死に対して身構え渾身闘うという人間の最後の姿の代行だった。

そして裕次郎はそのどれをも彼らしくさり気なく、だからこそ誰もが共感するように見事に演じきった。

こんな役者は、もう出てこていだろうな。

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