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2020年9月25日 (金)

台湾物語/新井一二三

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 終戦からわずか1年半後の1947年2月28日、外省人警官の地元女性に対する暴力をきっかけとして、国民党の暴政に怒った台湾本省人たちが全島的に立ち上がり、国民党側は中国から援軍を呼んで鎮圧した。その結果、地元の若手リーダーを中心とする犠牲者は2万8000人に上ったとされる。二二八事件だ。

サブタイトルにある「麗しの島(美麗島)」は、16世紀に東アジアへと進出したポルトガル船の乗組員が、海上から遠望した台湾を「麗しい島」と呼んだことに溯り、今日まで世界的にも、また地元でも通用する台湾のニックネームだ。

旅行先として人気の台湾。

また親日国でもある。

しかし、ガイドブックに載る情報以外のことは、実は日本ではあまり知られていない。

台湾は本省人、外省人にわかれるという。

本省人、外省人はもともと中国語の一般名詞である。

中国の省は日本の県にあたるので、本省人は本県出身者、外省人は他県出身者という意味に過ぎない。

20世紀後半の台湾で独特な意味を持つようになったのは、政治の問題であって言葉の問題ではない。

もとをたどれば清朝時代の福建省や広東省にルーツを持つ人たちを台湾本省人と呼んだのは、第二次大戦後、彼らより200年以上遅れて中国から渡って来た新移民たちである。

それで台湾本省人の側からは、彼らのことを外省人と呼ぶようになった。

戦後、中国大陸では国民党と共産党の内戦が激化し、1949年、毛沢東率いる共産党が勝った。

中華人民共和国の誕生である。

負けた国民党は、蔣介石に率いられて、幅200キロの海峡を船や飛行機で渡り、台湾にやって来た。

人口が600万だった島に150万というけた外れな人数がやって来た。

その後38年間、台湾は実質的に難民政権である国民党の独裁下に置かれた。

その体制を変えたのは先日死去した李登輝氏だ。

1988年に蔣経国が死去すると、副総統だった台湾本省人の李登輝が総統になった。

彼は国民党籍ながら、民主派の学生運動に背中を押されつつ改革を進め、96年には初の直接選挙で再度総統に選出された。

続く2000年の選挙では、「南部」の台南出身で「台湾の子」という愛称で呼ばれた民進党籍の陳水扁が勝利。

それは、ほとんど無血革命と呼んでいいほど大きな変革だった。

その後国民党の馬英九が総統になって、中国寄りの政策がとられるようになった。

しかし2014年、の学生と市民らが、立法院を占拠したひまわり運動によって馬政権は倒れる。

そして現在の蔡英文総統の登場となる。

今年になって、中国の圧力が強まっている台湾。

日本人も無関心であってはならないと思う。

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