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2020年9月22日 (火)

議論入門/香西秀信

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 定義からの議論は、その性格上、説得力の出所を、議論構造の面から説明することができない。聞き手が、その定義に納得すれば、説得は成功し、納得しなければ、失敗する──こんなトートロジーじみたことしか言えないのである。これは、反論の形態についても同様である。定義からの議論に対する反論とは、要するにその定義を否定すること、これ以外にはありえない。が、これは、その場合場合によって個別に検討されるべきものであって、その方法を類型化して示すことができるような性質のものではない。

本書は、議論の指導を行う教師に、基本的な論法についての情報を与えることをねらいとしている。

そして重要なことは議論の型を持つこと。

その型は次の通り。

①「定義」を使って論ずる

②「類似」を使って論ずる

③「譬え」を使って論ずる

④「比較」を使って論ずる

⑤「因果関係」を使って論ずる

以上の5つある。

読んでみて、確かに型を持つことは重要だと思った。

例えば「定義」について言えば、日常語は言うに及ばず専門語においても、複数の定義が可能である。

これが、「椅子」だの「鉛筆」だの「靴」だのといった語であれば、定義間の差異は無視しても大したことはない。

が、これが「民主主義」とか「資本主義」とか「芸術」などといった語になると、その差異は重大な問題となる。

だからまずは定義をはっきりさせよというのである。

確かにその通りでこれなくして議論しても、それは単なる「感情の応酬」に過ぎない。

現在マスメディアなどで、議論のつもりで「感情の応酬」が繰り広げられている。

ネットなどはそれが甚だしく、もはや議論と呼べるものではない。

もし多くの人がこの本で学べば、それらは「感情のぶつけ合い」から、「議論」に昇華するのではないだろうか。

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