« ゲームにすればうまくいく/深田浩嗣 | トップページ | 「権力」を握る人の法則/ジェフリー・フェファー »

2020年10月 2日 (金)

ユニクロ対ZARA/齊藤孝浩

Photo_20200927082001

 両ブランドの対象顧客とアプローチの違いを一言で言えば、ユニクロが年齢を問わず、大多数の人が着ることができるベーシックカジュアルウエアを「パーツ(部品)」として提供するのに対して、ZARAは働く女性とその家族やパートナーのためのヨーロピアンモード=トレンドファッションを「スタイル」で提案するブランドであることです。

ユニクロとZARAは、SPAモデルを使って、継続的な改善を重ねるチェーンである点は共通している。

しかし、多くの点で全く対極に位置するブランドだ。

かたや、ベーシックカジュアルで品質/価格の価値を高めたユニクロ。

かたや、トレンドファッションでデザイン/価格の価値を高めたZARA。

コストの安い中国や東南アジアでつくり日本で売って成長したユニクロ。

母国スペインや近隣諸国で生産することにこだわり、世界中に売ることで拡大したZARA。

また、経営者の考え方の違いは、小売業出身の柳井正氏と製造業出身のアマンシオ・オルテガ氏とこちらもはっきり分かれている。

小売業出身のユニクロは、売れるときに売り逃してはならない、需要はあるときに徹底的に刈り取ろうと考える。

そのため、需要の先食いという言葉をものともせず、今日は今日、明日は明日、毎日徹底的に売ろうとする。

たとえば売れる時期に予想以上に忙しかったりすることもよしとされる。

まさに小売業らしい発想と言えるかもしれない。

一方のZARAは製造業出身。

目先の売上も大事だが、それよりも操業の安定とそれによるトータルコストの削減、最終利益の向上を目指す。

無理をしてサプライチェーンに「待ち時間」をつくることでムダに経費がかさんでしまうことを理解している。

なので、計画外に売れすぎることは操業の安定を崩すため、よしとしない。

ユニクロにとってはとにかく在庫を切らさないための物流が重要。

一方、ZARAにとっては一年中安定的な、変わらないリズムをもった物流が重要。

ユニクロは店舗で売り逃しをしない商売人を育て、ZARAは顧客が望む商品の情報を汲み取るマーケッターを育ててきた。

これらが、両ブランドのこれまでの成長の秘訣と言っても過言ではない。

ファーストリテイリングの経営目標は、同社が公式に掲げている通り「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」こと。

そして、世界一のファッションチェーンになること。

柳井正氏率いるファーストリテイリングは常に中長期の高い目標を掲げて、それを実現するために今年、来年、再来年に何をすべきかを具体的に提示し、現場にも考えさせて実行してきた。

一方、ZARAはヨーロッパモードをベースにしたトレンドファッションを手ごろな価格で売ることを実現したグローバルなファッションチェーン。

ZARAは「百貨店クオリティのトレンドファッションを高速回転、低価格で」提供することをコンセプトとしている。

ZARAは、トレンドファッションに興味はありながら、高価なため百貨店では気軽に買えないという女性の、ドレスアップに対する欲求を満たすことを目指している。

ユニクロとZARAが、多くの点で全く対極に位置するブランドでありながら、両社とも世界的な企業に成長したという点は非常に興味深い。

« ゲームにすればうまくいく/深田浩嗣 | トップページ | 「権力」を握る人の法則/ジェフリー・フェファー »

書籍・雑誌」カテゴリの記事