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2020年11月19日 (木)

アイデアソン!/須藤順、原亮

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 アイデアソンの特徴は、多様な人が一緒にアイデアを目に見える形にし、何度も何度も対話やディスカッションを繰り返す中で新たな商品やサービスアイデアを生み出すところにある。1人では思いつかないようなアイデアを、他の参加者とのコミュニケーションを通じて具現化する場と言える。

本書ではアイデアソンを、「多様な主体が主体的に集まり、主体間の相互作用を通じて、課題解決に向けたアイデア創出や新たな商品・サービス・アイデアの創造を目指す共創の場」と定義している。

「アイデアソン」は「アイデア」と「マラソン」を組み合わせた造語。

「アイデアソン」の醍醐味は何といっても、多様な人が集まり価値創造に向けて共創するところにある。

語源である「アイデア+マラソン」が表す通り、スポーツのような爽快感と苦しさを味わえることも魅力の1つ。

アイデアソンの最大の魅力は、組織や所属、職種、専門性のほか、年齢や性別の異なる多様な人が参加する「多様性」にある。

アイデアソンは、合意形成を図る場や対話の場とは異なり、テーマに対してアイデアを具体的な形にすることが求められる。

重要なのは、アイデアを目に見える具体的な形として可視化し、その実用性を参加者全員で確かめる点。

アイデアソンでは、参加者が課題やアイデアを各自で考える個人ワーク、

ペアになり課題発見やアイデアを相互レビューし合うペアワーク、

そして、チームでアイデアのブラッシュアップやプロトタイピングを行うグループワーク、

と、個人・ペア・グループによる相互作用を繰り返す。

つまりアイデアソンは、多様で異質な知を持つ他者が集まり、コミュニケーションを活発化させることで集合知を生み出す場だと言える。

画期的なイノベーションを生み出すのは、グループゆえに生まれる天才的発想「グループ・ジーニアス」の重要性にある。

イノベーションは一度きりのひらめきではなく、ひらめきの連鎖によって具現化する。

つまり、多様な主体によるコ・クリエーション(共創)がイノベーションを生み出す。

ポイントは2つある。

1つは、インプットによって参加者の意識の中に一定の制約を与えること。

必要な情報をすべて提供するのではなく、アイデアソンの中で参加者に考えてほしい領域や方向性を提示し、アイデア創出の幅を一定程度狭めておくことが望ましい。

もう1つは、現場の追体験を意識した話題提供を行うこと。

特に課題にフォーカスする必要がある場合は、インプットにおいて現場の課題をできるだけ深いレベルで共有できるような仕掛けが必要となる。

たとえば、一般論ではなく、個別具体的な問題に焦点を当てることや、専門家などではなく、実際に課題を抱えている当事者による悩みを報告してもらうといったことも方法の1つである。

アイデアソンで生まれたアイデアが実際に形になるには、何よりも“will”が重要となる。

つまり、「この課題を解決したい」、「こんなサービスを創りたい」という強い意志が必要である。

そのためには、アイデアソンで扱うテーマに対して当事者性を持った人をいかに巻き込むかが大切となる。

アイデアソンで良案が出たら、それを実現させるために実際に行動を起こせる想いと能力を持った人が、コアな当事者となる。

コアな当事者がいないアイデアソンは、アイデアを出すだけで終わってしまうケースが大半。

アイデアソンにかける時間は、最も短いもので90分程度、そこから半日(4時間程度)、1日(8時間程度)、あるいは2日などが一般的。

簡単なブレストのみでフラッシュアイデアを集めるのであれば半日以内、

テーマのインプットなども行ったうえで視点を広げたアイデアを集めるのであれば1日コース、

出たアイデアのブラッシュアップを行うなら2日コースで行う。

多様な人が集まり価値創造に向けて共創するアイデアソン。

一度、体験したいものだ。

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