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2020年11月27日 (金)

amazonの絶対思考/星健一

Amazon

 学ぶべきなのは、ジェフ・ベゾスの理念をスタートとして、アマゾン、そしてアマゾニアンと呼ばれる社員が、その理念を具現化し貫いてきたビジネスを進める上で「普通」となっている「基準」なのである。
 その「基準」は革新的なビジネスを生み出す思考方法であったり、新たなビジネスを構築しスケールさせる(規模を拡大させる)メカニズムをつくる方法であったり、それを可能にする社内文化の醸成などである。

アマゾンジャパン成長の過程は3期に分けられる。

第1期は創業時の2000年から2005年頃。

まだまだ混沌とした中でベンチャー、スタートアップのようなカルチャーのもと、仕組みを作りながらも属人的なところも残っていたと思われる時代。

第2期は、2005年から2015年頃まで。

自動化が進み、商品カテゴリーをどんどん拡大。

毎年の事業プランは対前年比数倍にする計画を立て、それを達成していった。

社員数は、数百人から数千人規模に一気に拡大し、大企業病にならないように意識しながら組織マネージメントを行うとともに、アマゾンのカルチャーを醸成していった。

直近、第3期となる2015年以降は、新規事業などにより組織はさらに拡大し多くの大規模な縦組織ができた。

それと共に各リーダーへの権限委譲が進んだ。

一度醸成した独特で強烈なアマゾンの組織文化は微調整されながらもますます強さを増し、さらなるビジネス拡大の牽引力となっている。

アマゾン内部では「プラットフォーム」という言葉は使用しない。

プラットフォームという言葉には、市場をコントロールし独占し得ることを示唆するイメージがあり、アマゾンはそれを目的にはしていないというポジションを明確にしているからだ。 

更に、失敗が許される文化があり、失敗から多くのことを学び取るという考えで、見切りを付ける思い切りもいいのが、アマゾンの事業展開の特徴ともいえる。

高い授業料ではあるが、失敗から得たノウハウがその後の新規事業の成功に結びついている。

では、サービス品質向上のために、何をどのように実践していくか。その考え方を示しているのが「お客様の発想や要望からスタートし、常にお客様の立場で考えること」という理念である。

お客様のためになるのであれば可及的速やかに導入される。

それが、アマゾンの「普通」の判断基準になっている。

「ベゾスの紙ナプキン」についてのエピソードが、ITビジネスの世界では伝説のように語り継がれている。

ジェフ・ベゾスは1964年、ニューメキシコ州生まれ。プリンストン大学を卒業後、ニューヨークの金融業界でファンドマネージャーとして働いていた。

退職後、オンライン書店ビジネスを構想し、レストランでどんな事業を目指すのか友人と語り合いながら、手近にあった紙ナプキンに書き留めたといわれだビジネスモデルの図。

「Flying Wheel(フライングホイール)」と呼ばれ、社員同士では英語で「Napkin Thingy(そのナプキンのやつ)」、日本語では「グルグル」と呼ぶこともある。

驚くべきことに、ジェフ・ベゾスが示した「Flying Wheel」の概念は、創業から20年以上経った今でもアマゾンのビジネスを支える普遍的な「基準」となっている。

成長によって得られる収益は、企業の利益とするよりも、優先的にさらなる顧客体験の向上に投資していくという考え方も、このビジネスモデルに則っている。

アマゾンには独特のカルチャーがある。

旧態的な企業にありがちな「努力と根性」重視ではまったく通用しない。

データをとことん分析し、オポチュニティーを探し出し、システムや仕組みのイノベーションによって自動化、効率化を進める。

何ごとにもスケーラビリティを求められるのが、アマゾンの「普通の基準」。

雇用する人材、そして既存の社員にもそうしたカルチャーへの理解と実践が求められる。

常に顧客の目線で行動するのは簡単ではない。

企業は利益を出さなければ存続できない。

そのような中、トップ、経営層が率先して「Customer Obsession」を貫き通すことによって他メンバーが迷いなく行動できることになる。

このような経営層の気骨も重要。

アマゾンでは「社員全員がリーダーである」という考えが徹底されている。

そのためには全社員に「Ownership」が不可欠であり「それは私の仕事ではありません」といった視野の狭い言い逃れは禁句となっている。

社員は年初には直属上司と「ゴール設定」を行い、上司は定期的に「1on1」によってその達成をフォローしていく仕組みが徹底されているのも、アマゾンの特長的な点といえる。

設定するゴールには「SMART」があることが求められる。

つまり、

「S=Specific(具体的であること)」

「M=Measurable(測定可能であること)」

「A=Achievable(達成可能であること)」

「R=Relevant(会社及びチーム目標に関連している)」

「T=Timebound(明確な達成時期を定めること)」

という五つの原則にかなったゴール(目標)であることが必須である。

各社員のゴール設定は一つではない。

「自分が担当するサービスの顧客数を1万人増やす」「品揃えを10万から15万にする」といった業務に直接関わる目標もあれば、

「英語のレベルを上げ、グローバル会議でリードできるようになる」といった個人的スキルの向上など、

さまざまな目標を設定し、定期的に上司に報告、相談しながら、期限内での達成に向けて進めていく。

人事評価の基準は、一般的な企業に比べて公平にして厳格だ。

基準には大きく分けて三つの側面がある。

一つ目が、先ほど挙げた「SMARTゴール」に対するパフォーマンスの達成度。

二つ目が、リーダーシップ・プリンシプルをベースとしたその人のリーダーシップ、仕事の進め方などの評価。

最後の三つ目は「成長性」の評価。

さらに、ジェフ・ベゾスは「いつかアマゾンは潰れる」とも予測している。

「アマゾンは倒産するだろう。大企業を見ると、その寿命は30年程度。100年ではない」。

ベゾスはさらに、「もし我々が顧客ではなく、我々自身に注力し始めたら、それは終わりの始まり。アマゾンの仕事は顧客に注力することによって倒産を可能な限り遅らせること」と付け加えた。

こうしたベゾスの発信は当然アマゾンで働く社員にも届き、危機感が醸成され、企業カルチャーとして浸透している。

理念が共有され、企業カルチャーとして浸透し、健全な危機感が醸成されている。

これらがアマゾンの強さといえるのではないだろうか。

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