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2020年11月30日 (月)

皇帝たちの中国史/宮脇淳子

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 シナの歴史書は、シナ人が勝手に書きました。だから、中国人の「どこそこに、こう書いてある」を真に受けてはいけません。全然、当てにならないのです。 

本書に登場するのは、始皇帝、漢の武帝など古代シナの皇帝たちから、元のフビライ・ハーン、明の朱元璋、清の康熙帝など。

歴代皇帝たちの治乱興亡を中心に、これまでの通説を根底から見直している。

たとえば、「東夷・西戎・南蛮・北狄」という言葉がある。

自分たちは文明人、彼らは野蛮人だとして、中央の「文明人」が周囲の人々につけた呼称だ。

「東夷・西戎・南蛮・北狄」の中から漢字を使い、よその民族と交渉する人々が現れた。

彼らが、富を蓄え、都市を築き、都市の住民となり、「オレたちはお前らと違う。高い文化を持ち、豊かなのだ」と自らを区別したところから中華文明は始まった。

そのようにして、漢字の読み書きができ、都市に住むエリート階級が「中国人」になった。

つまり、「中国人」とは、もともと先進的な一民族として存在したわけではなく、生物学的なルーツは「東夷・西戎・南蛮・北狄」と呼ばれた野蛮人そのもの。

彼らが互いに混血しあって、できあがったエリート階級にすぎない。

「中国人」とは、実は、「東夷・西戎・南蛮・北狄」の子孫だったのだ。

悪名高い「焚書」だが、あれは、その他の字で書かれた書物を焼き払ったもの。

後世、文明破壊のように悪く言われるが、実は、文字統一を主な目的とする措置だった。

焚書を行なわなかったら、文字統一はならず、文字統一がならなければ、シナの統一もなかった。

その後、王朝は何度も変わるが、幾度も分裂しながら、シナには再三再四、大帝国が出現する。

しかし、始皇帝が文字を統一しなかったら、それもなかった。

もちろん現在の中華人民共和国もない。

日本人には想像もつかない誤解もプロパガンダもたっぷりのシナの歴史。

中国5千年の歴史などというが、そもそも中国という国が5千年前からあったわけではない。

皇帝たちがそれぞれ異なる国をつくって、その国が交代しただけ。

シナの最初の皇帝である始皇帝のあと、武帝が建てた漢はまったく別の国家と見なければならない。

そうなると中華人民共和国はわずか70年の歴史しかないことになる。

たいていの国は、嘘をつかないまでも、史実を都合よく取捨選択し、誇張している。

また、関心のある史実を重視し、そうでないものは無視している。

歴史を学ぶ場合、それを前提にすべきということであろう。

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