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2020年11月14日 (土)

中国五千年の虚言史/石平

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 基本的に中国人は儒教の影響から家族主義であり、血族および地縁や利益共同体の疑似家族(「圏子」という)以外は、すべて信用できない相手と見なす。また、家族であっても、夫婦は完全には信用しない。

本書は日本人に帰化した著者が中国の虚言の歴史をつづったもの。

中国人は基本的に他人を信用しない。

だから、何か利害関係に発展する場合、必ず嘘をつく。

そしてその嘘がバレても、とにかく嘘をつき通そうとする。

中国人が自らの嘘を認めるのは、相手が圧倒的に立場が上で、そのまま嘘をつき通せば、自分の利益にならないときである。

みんながみんなそうだから、とにかく嘘だらけの相互不信社会になる。

中国には、「中国ではなんでもニセモノ、本物なのは詐欺師だけ」ということわざがあり、かつて江沢民政権時代に首相を務めた朱鎔基も、そのことを口にしていた。

現在の習近平政権において、共産党一党独裁の正統性を強調するためには、反日抗日をテコにするしかない。

そのため、抗日の被害を極大にし、それに打ち勝った中国共産党という神話を強化せざるをえない。

例えば、中国共産党政権が誕生してから、抗日戦争による中国軍民の死傷者は、年を追うごとに増え続けている。

習近平は抗日戦勝69周年記念式典をはじめ、さまざまな公式の場で、抗日戦争中の中国軍民の死傷者は3500万人だと述べている。

だが、この死傷者3500万人という数字の根拠について、習近平は一切、示していない。

中国政府にも、中国国内の研究でも、この数字を立証する論文はまったくない。

つまり何の根拠もない。

そもそも1950年、中国共産党政権が樹立した直後に発表された中国での日中戦争犠牲者数は1000万人だった。

それが85年には2100万人になった。

そして江沢民政権のもとで反日教育が始まり、95年になると、この3500万人になってしまった。

つまり、45年間で3.5倍に膨れ上がったことになる。

その理由について、中国共産党も誰も説明していない。

中国にとって、歴史とはあくまで政治に利用するものなのだ。

たとえば、毛沢東が主導し、中国全土を大混乱に陥れた文化大革命について、中国共産党は1981年に「文化大革命は動乱と災難」であり、「毛沢東の誤った認識が引き起こした」としていた。

だが、2018年3月から中国の中学校で使用され始めた新しい歴史教科書では、「動乱」「災難」という文言や、「毛沢東の誤った認識」といった表現は削除され、毛沢東の判断は間違っていなかったことにされている。

また、中国ではいまだに、1989年の天安門事件について公に語ることはタブーとされている。

そのため、事件に関連した人物の存在が抹殺されてきた。

中国人の「嘘つき」体質は、今後も数百年にわたって不変であろう。

そもそも習近平体制自体が、政権にとって都合の悪い情報を遮断し、習近平の実績を水増しし、嘘によって神格化しようとしている。

表現の自由がないのだから、政権はいくらでも嘘をついて人民をコントロールできる。

そして中国人も、その大きな虚構のなかで、保身のために嘘をつき続けなくてはならない。

あらゆるニセ情報、謀略を用いて相手をねじ伏せるというのが、中国の伝統なのだ。

どこまで上手に嘘をついて相手を騙すかが、勝敗を左右する。

そういう故事について、中国では子供の頃から嫌というほど聞かされる。

日本では「嘘つきは泥棒の始まり」であるが、中国では「嘘つきほど成功する」なのだ。

中国では、成功者が嘘つきであるのと同時に、愚かな者は騙されて当然だという風土でもある。

騙すほうよりも、騙されるほうが悪いのだ。

昔から、中国における嘘の撃退法は、相手が嘘をつくことがわかっているなら、こちらも嘘をつくというものだ。

つまりそれは、誰も最初から信用しないことを意味する。

最後は、誰がいちばんうまく騙したかということで、勝者が決まる。

そして、そんな国のお隣にあるのが日本なのである。

くれぐれも外交で中国に騙されないことである。

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