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2020年12月30日 (水)

GIG WORK/長倉顕太

Gig-work

 お金、能力、時間、人脈の4つのうち、時間以外の3つは人それぞれ違う。だから、一概にこうしろとは言いづらい。ただ、時間については1日24時間はすべての人間に平等だ。だから、まず大切なのは、貴重な自己資源である時間をどこに投資するかだ。

ギグワークとは世界最先端の都市であるサンフランシスコに住んでいた著者が見てきた未来の働き方。

簡単に言えば、資本家でも労働者でもない存在が生まれた。

それを「ギグワーカー」と呼んだり「ギガー」と呼んだりする。

そもそもなんで「ギグエコノミー」と呼ぶのか。

「ギグ」とはもともとジャズミュージシャンの間で使われていた言葉で、ライブハウスなどでの単発の演奏のことを言う。

つまり、「ギグエコノミー」とは、プロジェクトごとに参加したり、空き時間を使って参加したり、さまざまな形で会社員という形でなく労働することを指す。

たとえば、デザイナーとしてあるプロジェクトに参加したり、空き時間を使ってウーバーのドライバーをすることも同じだ。

著者が提案するのは「人生をギグれ!」ということ。

バブル経済が崩壊してから30年が経ち、多くの数字が日本の衰退を示している。

ある調査によるとこの期間における名目GDPの成長率を見たときに、アメリカ4倍、イギリス5倍、韓国18倍、中国75倍なのに対して、日本は1.5倍。

1997年~2007年の民間部門の総収入を見たときに日本は主要国で唯一のマイナスで9パーセントの下落。

ちなみに、アメリカは76パーセント、イギリスは87パーセント、フランスは66パーセント、ドイツは55パーセント、韓国は2.5倍に増えている。

このような状況になっている最大の要因は、日本の社会システムが時代に合っていないのが原因だ。

日本人には新しい働き方が求められている。

もし、「やりたいことがない」というなら、なおさらギグワーカーを目指すべきだ。

ギグワーカーになって選択肢を増やすだけ増やす。

あくまでも何を選ぶかは重要じゃない。

当たり前だが、選択肢が多ければ多いほど、人は精神的にも経済的にも豊かになれる。

人生戦略を考える上で重要なのは「自分を知る」「世界を知る」「戦略を知る」こと。

重要なポイントはインターネットの普及により、世界がコンテンツ化したことが大きい。

最近の事例で面白いのはKonMariこと近藤麻理恵さんのアメリカでの活躍。

彼女は2010年に日本で出版した『人生がときめく片づけの魔法』がミリオンセラーになり、その後、アメリカ版もベストセラーに。

さらに、ネットフリックスで番組を持ち、大成功をしている。

掃除を製品化したのが掃除機なら、コンテンツ化したのがKonMariなわけだ。

彼女は40億円以上でネットフリックスと契約したわけだから、まさにコンテンツ化がお金を生むことを証明している。

人はコンテンツがなければ生きていけない生き物だ。

なぜなら、膨大な処理ができる脳を手に入れた人間は、常に何かを思考している。

それは意識的か無意識的かは別として。

そこで重要なのは、思考する根拠となるものだ。

コンピューターで言えば、OSみたいなものを常に必要としていく。

なぜなら、私たちは日々、選択に迫られる。

ある説によると、1日約9000回の選択を迫られるという。

そうなると、ほとんどの場合は無意識で判断していることになるが、顕在意識では常に「これは正しいのか?」という不安を抱くことになる。

そこで、人は何か信じるものが欲しくなる。

判断基準が欲しくなる。

その結果、あらゆるコンテンツを欲していくのだと思う。

アマゾンはコンテンツによって私たちの頭だけではなく、リアル店舗を持つことで、生きていく上で必要な食料品を扱うことで身体まで支配してきていると言ってもいい。

今の時代はこうやってコンテンツが頭から入り思考を支配され、リアルな人生における行動が決まってくる。

コンテンツは趣味や知的好奇心レベルの話ではなく、リアルな人生における行動すらも支配していく。

そもそも、この世界を支配している宗教もコンテンツだ。

資本主義すら宗教と言っていい。

グーテンベルグが考えた印刷技術によって、聖書が世界的なベストセラーになったわけだ。

今は印刷からインターネットにメディアが変わり、そこにあらゆるコンテンツが乗っている。

私たちはインターネットに接続している限り情報発信していることになる。

意識的か無意識的かは別にしてだ。

だったら、影響力を持つような発信をしたほうがよくないか。

だったら、意識的に情報発信していったほうがよくないか。

それができるようになれば、自分の人生がコントロールできるようになるからだ。

コンテンツの支配側(発信側)にまわることで得られるもう一つのメリットは、仕事のリモート化が可能になることだ。

結局、私たちは不安で仕方ない。

だから、自分の価値を感じたいし、自分の役割を見つけたい。

こういう前提がいまの消費社会になっていることを理解することが重要だ。

結局は「何を言うかより、誰が言うか」だ。

今の時代は簡単にコピーが可能だ。

コピー&ペーストが簡単だからこそ「何を言うか」というのは重要でなくなってきてしまっている。

「誰が言うか」というのは、すなわちコンテクストをつくる重要な構成要素。

コンテンツの価値を決めるのはコンテクストで、その中の重要な構成要素の一つが「誰」だということ。

要するに「何を言うかより、誰が言うか」ということは、誰というキャラクターがそのままコンテクストと言っていい。

コンテクストをつくるためには戦略が必要。

戦略がない人たちは「現在地」を知らない人がほとんどだ。むしろ、「現在地」を知らないから戦略という発想がないのだろう。

当たり前だが、たとえ「目的地」が明確だとしても「現在地」を知らなければ、どちらの方角に向かったらいいかわからない。

だからこそ、まずは「現在地」を知らなければ戦略もクソもない。

現在地を知るためには「読書する」「新しい体験をする」「文章を書く」という3つが有効だ。

例えば、読書をすればするほど、自分がどんどん知らないことがあるのに気づくようになる。

そして、知らないものに出会えば出会うほど、自分の現在地がわかるようになる。

そうやって、どんどん新しい知識にぶつかっていくことで、そこからの距離がわかり自分の現在地がわかるようになる。

この考え方はサイバネティクスと一緒だ。

サイバネティクスというのは、アメリカの数学者であったノーバート・ウィナー博士が開発したもので、敵の戦闘機を撃ち落とすために開発されたと言われている。

これは照準を戦闘機に合わせるためのもので、弾を何発も放つことでその弾と戦闘機の距離をどんどん測っていき、最終的に命中させるというもの。

自分の現在地もこれに近い形で、どんどん新しい知識を投げることでわかってくる。

そしてひたすらテイクし続けること。

世の中は、ギブ-テイク=チャンス。

そしたら、チャンスなんて勝手にやってくる。

今できることを還元していくと、いろんなチャンスがもらえるようになる。

それは新たなチャレンジだったりする。

そして自己投資をすること。

確保した時間という自己資源をどこに投資すればいいのか?

すべての自己資源をインプットに投資するべき。

なぜなら、インプットはさらなる価値を生み出してくれるからだ。

まずは、新しい「知識」と「経験」に自己資源を集中させること。

そして行動することでインプットが変わる。

それは何らかのコンテンツを観ることもだろうし、行ったことのない環境に身を置くこともだろうし、新しい人間関係をつくることもだ。

自分の人生を生きたいなら、インプットとアウトプットを自らの意思で高速回転させていくしかない。

そしたら、いつの間にか違う景色が見える場所にいるだろう。

そうすると、「好きな場所で、好きなときに、好きな人と仕事をする」という未来が手に入るだろう。

それを手に入れるために「ギグワーク」という生き方がヒントになるはずだ。

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