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2020年12月 5日 (土)

派遣添乗員ヘトヘト日記/梅村達

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 派遣添乗員の報酬は、だいたい日当1万円ほど。現在では、大半の旅行会社は時給計算をしていて、時給自体は高くないが、仕事柄、超時間拘束されるので、そのくらいの金額になる(なお、時間給は派遣会社にもよるが、おおむね長く在籍していればいるほど、上がっていくシステムとなっている)。
 ここに準備、精算、前泊手当て、後泊手当て、車内販売手当てなどのこまごまとした業務給が加算される。

添乗員の仕事は過酷だ。

しかも派遣ともなるとそれに輪がかかる。

一番多い添乗員というのは、どういう人たちなのであろうか?

それは添乗業務を請け負う派遣会社に所属している人たちである。

添乗員の業界というのは、そういう派遣の人たちなしには成り立たない。

派遣としての不安定な立場、添乗中のトラブル、ツアー参加者からのクレーム、旅行会社とのあつれき……そんな日常の中に、時折、喜びや希望も顔をのぞかす。

その悲喜こもごもを現役派遣添乗員の著者が語っている。

団体旅行を遂行するにあたって、旅行会社の担当者は添乗員向けに、スケジュールの進行を記した指示書を作成する。

添乗員は、この指示書にしたがって、ツアーを進めていく。

とはいっても実際の旅行においては、観光バスが渋滞に巻きこまれるなど、アクシデントやトラブルはよくある。

添乗員はそれに対処しながら、臨機応変に仕事をこなしていかなければならない。

添乗員としての仕事を通じて、多くの人に接してきたその経験から、たしかに顔には心の履歴書という一面があるという。

失敗によって、人は学習する。

まず座席割り。

横並びにならない席を割りふる際には、まず顔つきに注意を払う。

表情はその人の内面も映し出す。

クレームをつける人、つけない人は、表情、雰囲気、目つきでほぼ100%見分けられるようになったという。

長年の添乗員生活における危機管理術といえるだろう。

結果、添乗員として仕事を続けている人は、打たれ強い人ばかりであったという。

何しろ春と秋の繁忙期には、毎日のようにツアーがあり、寝ている時間もないほど。

ひとつのクレームにいつまでもクヨクヨしている暇もない。

またある程度の経験を積めば、クレームにも慣れてくる。

この打たれ強さに加え、体力さえあれば、添乗員の基礎はできたと言っても過言ではない。

サービス精神が旺盛でウケのいい人でも、語学堪能で海外ならまかせてくれという人でも、体力がない人にはこの仕事はつとまらない。

旅が好きという理由で、添乗員の世界に飛びこんでくる人はあとをたたない。

しかし、すぐに辞めてしまう人も少なくない。

生き残っている添乗員は、精神的にも肉体的にもたいへんタフな人たちなのである。

旅行を意味する英語のトラベルは、トラブルが語源だという。

しかし、こんな激務をして日当1万円とは。

私にはとてもできないと思った。

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