経営者のノート/坂本光司
人の幸せは4つといわれる。
1つ目は、人にほめられること。2つ目は、人に必要とされること。3つ目は、人の役に立つこと。そして4つ目は、人に愛されることである。
この4つの幸せは、どうしたら得られるのか。結論を先に言えば、「働くこと」である。働かなければ、この4つの幸せを得ることはできない。
すべての活動の要は、目的、手段、そして結果の3つである。
中でも最も重要かつ大切なものは、目的である。
このことを経営者はひと時も忘れてはならない。
企業はもとより、すべての組織体の経営の目的・使命は、その組織に関わるすべての人々の、永遠の幸せの追求・実現である。
経営には、時代の変化に合わせ変えるべきものと、どのように時代が変化しても決して変えてはいけないものの2つがある。
環境や時代がどのように変化しても決して変えてはいけない「あり方」とは、正しい企業経営の実践、お天道様に顔向けのできる経営の実践、つまりその組織の存在目的・使命である経営理念に基づく経営の実践である。
企業とは、人を幸せにするための・人が幸せになるための場所のことをいう。
企業とは、社員や顧客など、とりわけ関係の深い5人を幸せにするための、また幸せになるための場所のことである。
経営者を初めとする組織のリーダーは、特に重要な関係者5人の、永遠の幸福を追求・実現しなければならない。
5人とは、
第一に「社員とその家族」であり
第二に「社外社員とその家族」であり
第三に「現在顧客と未来顧客」であり
第四に「地域住民・地域社会、特に障がい者等社会的弱者」であり
第五に「株主・支援者」
この5人のなかでとりわけ重要なのが、「社員とその家族」と「社外社員とその家族」の幸福の追求・実現。
なぜならこの2人が、顧客や地域住民、さらには株主・関係者等に提供する感動的価値の創造的担い手だからだ。
「五方良し経営」のなかで、経営者・幹部社員が最も重視すべき人は、顧客や株主ではなく、社員とその家族である。その幸せづくりこそが経営者の仕事である。
社員第一主義経営は、決して顧客を軽視しているわけではない。
顧客が大切だからこそ、社員がより大切なのだ。
つまり、ES(社員満足度)なくしてCS(顧客満足度)はあり得ないのである。
経営の3要素は、ヒト・モノ・カネではなく、1に人財、2に人財、3に人財。他はすべて人財のための道具にすぎない。
経営の3要素は、「ヒト・モノ・カネ」、「人材・技術・情報」などではなく、「1に人財、2に人財、3に人財」であること、そして他は人財のための資源、道具にすぎないということを、経営者は決して忘れてはならい。
「人を大切にする経営」と言っている経営者は多い。
しかし、それが実質となっている企業は意外と少ないのではないだろうか。
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