「考えた人すごいわ」を考えたすごい人/岸本拓也
事業を成功させるには、商品作りの技術という縦軸の深掘りだけではなく、「自分は何をやりたいのか」という横軸の「コンセプト作り」もしていかないといけません。
著者は店名の提案に加え、パンの開発から店舗のデザインまでトータルでプロデュースし、オーナーさんのために「売れるパン屋」を作ることをミッションとしている。
一つの店を作るのは、一つのショーを作ることと同じ。
いわゆるステレオタイプの店をそのまま作っても成功はない。
金儲けだけをゴールにしている人、おいしい話につられてしまうような人で成功している人はいない。
何か事業をはじめる前にやってみてほしいのが「人生の棚卸し」。
「人生の棚卸し」とは、自分の本質が何なのか自問自答し、自分らしさを見つける作業。
「人生の棚卸し=自分自身を知る」という作業がないと、いいものは作れない。
その店に来たくなるような、または来店したお客様がそのお店のことを人に話したくなるような「楽しい体験」を用意する必要がある。
そのためには、お店でお客様をお迎えする私たち自身が楽しい体験をしていなければ、絶対に提供することはできない。
型にはまって固まってしまった思考では、人を喜ばせられるような新しくて楽しい発想は出てこない。
店内に入って大きな感動もなく、どんなパン屋だったか思い出せないような店では、お客様は何度も通いたいと思うことはない。
「あの店に行くといつも楽しいことがある」という店に対する信頼感が、またお客様を店に呼び込むことにつながる。
そこでスタッフに徹底してもらっているのが「声出し」。
スタッフの元気のいい声が生み出す「ライブ感」をお客様に体験してもらうことで、「ここのパンはおいしそう」という気持ちを持ってもらう。
「5秒間、必ず一人ひとりのお客様と向き合って話しなさい」とスタッフに言う。
お店のスタイルを作り上げるのは目に見えるものだけではない。
匂い、音、空気、五感で感じられるものすべてが体験を生み出す。
「お客様に喜んでもらうこと」をひたすら愚直に貫いていったら、必ずどのビジネスも成功する。
しかし、「喜んでもらう方法」は、自ら体験しないとわからない。
つまり「もっと遊べ!」ということではないだろうか。
« 「ひとり起業」の強化書/天田幸宏 | トップページ | 読む本で、人生が変わる。/中谷彰宏 »