« 起こることは全部マル!/ひすいこたろう、はせくらみゆき | トップページ | 片づけられない自分がいますぐ変わる本/大嶋信頼 »

2021年1月22日 (金)

「行動デザイン」の教科書/國田圭作

Photo_20210115075701

 「行動」で発想すると、市場とは「同じ目的、同じ時間帯や気分の中で選ばれる可能性のある選択肢の集合体」という規定になります。
 そして、行動で捉えた市場の総和、つまり「子育て市場」や「朝食市場」の総和が全体で一つの国内消費の総市場を形成している、というのが私たち研究所の見立てです。だから着目すべきはモノ単位の市場規模や成長率ではなく、「子育て行動」がつくり出す「子育て市場」や、「朝食行動」がつくり出す「朝食市場」の総量とその増減なのです。

本書は、今までマーケティングをモノで発想しがちだった「モノ頭」を、「行動頭」に切り替えるためのアプローチを解説している。

「マーケティングの新戦略」といってもよい。

人は、「持つ」「運ぶ」「しまう」「使う」「捨てる」……という行動を介してモノとつながっている。

例えば「映画」の価値を作品(モノ)の内容ではなく「映画館という特殊な(非日常的な)環境で時間を過ごす行動」だ、というように捉え直す。

実際、それによって新たに誕生したビジネスがある。

「シネコン」だ。

ゆったりした椅子に座って、飲食しながら映画を楽しむことができるシネコンは、デートスポットとして再び若い世代も集客できるようになった。

どの作品(モノ)を見るかを前もって決めて、それを上映している映画館を探す、というのが従来の「映画行動」の常識だった。

それを「とりあえずシネコンまで行って、その日の上映リストの中で2人の見たい作品を選ぶ」という行動に転換することで、それまでにない「デート行動」をデザインできたことが大きかった。

モノの括りは固定的だが、行動の括りはかなり弾力性がある。

シネコンを映画行動で捉えても、デート行動で捉えてもかまわない。

自分に都合のいいように括りを設定してみればいい。

そこに発想転換の鍵がある。

「駅ナカ」という言葉がある。

「駅前」という立地を表す言葉から派生した造語だが、「駅ナカ」には、「駅前」にくらべて立地だけでなく生活者の移動時間・移動空間を受けとめる、という「行動」の視点がより包含されている。

行動の括りは、市場の括り。

つまり、〈「駅ナカ」市場〉という新しい括り。

駅を通過する生活者の一日の行動、という視点で市場を新しく括り直したことで、そこにもともとあった需要が大きく顕在化し、ビッグビジネスになった。

「モノ頭」を、「行動頭」に切り替えることによって新しい発想とビジネスが生まれる。

「行動デザイン」

始めて聞いた言葉だが、可能性を感じるアプローチだ。

« 起こることは全部マル!/ひすいこたろう、はせくらみゆき | トップページ | 片づけられない自分がいますぐ変わる本/大嶋信頼 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事