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2021年1月20日 (水)

9割の会社が人事評価制度で失敗する理由/森中謙介

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 実際に運用するのも適用されるのも、温かい血の通った、感情のある人間です。評価制度の何よりも大事なピースは、結局のところ人間なのです。
 そこを忘れて、制度を導入すればすぐに機能して業績をみるみる向上させる、ITシステムと同じように考えると失敗します。

人事評価制度を導入に失敗している企業は多い。

どうして失敗してしまうのか?

そもそも、すべての会社に当てはまるような、万能の評価制度などないし、お仕着せのシステムをポンと導入してすぐ成果が出るほど、制度設計は容易ではない。

どれほど客観的な評価表を作り、論理的に点数をつけたとしても、評価をするのもされるのも、心を持った人。

される側が納得できる評価をするためには、評価をする側にもそれなりの心構えや見識が必要だし、制度の導入自体を社員にリーダーが心から納得させられなければ、やはり機能しない。

社長と社員との間にしっかりとした信頼関係とコミュニケーションが成立していなければ、そもそも組織として機能しない。

ましてそんな状態で社長が社員を評価しても、納得してもらえるはずはない。

人事評価制度は、リーダーの資格がある人が、部下との信頼関係の下で正しく運用してこそ、社員が正しく伸び、結果として会社の業績も伸びていく。

人事評価制度とは、学校の通信簿のように社員の能力に優劣の点数をつけて、支払う給料を決める道具ではない。

会社の「あるべき姿」や理念、理想像を明確にし、そのために社員が発揮すべき能力や思考を、役割ごとに定義する。

そして、そこへの「到達度」を評価という形で見せることで、現在の社内での自分の立ち位置を知り、会社全体をより高みへと向かわせるためには、何をするべきかを社員自身が考えるきっかけとする。

評価の結果は等級などの形で示すことで、社内における自身の立ち位置を見せたうえで、今後はどちらに、どのような努力をすべきなのかを示す。

人事評価制度の要諦は、自社が目指すゴールを示し、そこに向かうために社員に求める資質や行動がいかなるものであるかを明示したうえで、そこから現状がどれほどの距離にあるかを、本人に分かりやすく説明することなのだ。 

制度の導入で成功する企業の経営者は、必ず正しいリーダーシップを備え、優れた幹部や管理職に支えられている。

優れた人事評価制度とは、彼らの本来の資質や能力を引き出して、会社が目指すべき理念や理想を言語化した、従業員が生き生きと働くための道しるべとなる。

だから、導入から本格的に制度を適用するまでには時間をかけるべきだし、導入後も常に内容を見直してその会社にふさわしい制度へとアップグレードしていく姿勢が必要。

人事評価制度を構築することは、自社を客観的に評価し直し、時には目を背けたくなるような弱みも直視して、改善を誓うことでもある。

すなわち、人事評価制度の前に、会社の再評価が必要なのだ。 

会社が求める人材像、ひいては会社が目指す将来像をしっかりと示し、それに沿った働きぶりを制度の運用を通して実践することで、会社全体が少しずつ、制度が目指した方向性へと変わっていく。

結果としてそれが顧客満足や業績にも実を結ぶ。

人事評価制度導入の狙いと成果とは、そういう地道なものだという認識は持つべきだろう。

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