ササるプレゼン/長谷川孝幸
ササるプレゼンとは、相手の心を動かすことで、「抵抗なく聞けて」「行動変容を促す」プレゼンのこと。「そうかな?」ではなく「そうだろうね!」と感じさせ、目に見える結果を得るのです。頭(理屈)でも、心(情)でもわかるのが、ササる話です。ササらない話は行動変容を生みません。渋々動いてくれても、不満感が残存してしまいます。
プレゼンが芸術的、文学的かつエモーショナルであったとしても、買ってくれる、使ってくれる、頼んでくれなければ、ビジネスとしては「お願い」も「お勧め」も成立したとはいえない。
「ササるように話す」のが、仕事の上ではなにより大事。
そもそもプレゼンとは「情報伝達と意思疎通を同時に実現するコミュニケーション手段」。
これが成立することにより、相手の行動変容を効果的に促す。
聴き手の行動変容を促すために――①納得、②受容、③関心、④感心、⑤メリット、⑥客観性、⑦情、⑧簡潔明瞭、という8つの条件を一定以上充たしているトークや文章が提供されていることをプレゼンの基本とする。
一般的に仕事上のプレゼンで聴き手が求めるのは、次のいずれか。
●旬のテーマ
●普遍的なテーマ
●目新しいテーマ
●直接業績アップや改善が発生するテーマ
●その話を聴くことで外聞がよくなりそうなテーマ
逆に言えば、これらに当てはまらないものを、仕事上で聴きたいとは思わない。
「ササるテーマ」として認識してもらうためには、タイトルが凡庸では関心を買えない。
また奇抜過ぎて興味がついていかない、エッジを効かせ過ぎて今ひとつピンとこない、といった場合にも選んでもらえない。
次に、プレゼンはテーマが魅力的でもコンテンツがよくなければ、相手には受容も納得もしてもらえない。
次のような構成であると大きな疎漏はなくなる。
●当該テーマの基本概念の共有
●当該テーマの理解のあり方
●当該テーマの今後の見通しと展開法
独自の型を作ることに慣れていない方は、まずはこの構成でコンテンツを組み立てていくと安心できるだろう。
最低限言わなければいけないことというのは、結論。
最終的に何を伝えなければいけないのかを常に頭に置き、そこからずれないように話す。
そして結論からものを言う。
結論から逆算して話すから、聴き手はストレスフリーで話を聴ける。
結論から逆算し、考えて話すことで、次のようなメリットがある。
●「あるべき姿」が明確になり、曖昧さがなくなる
●話の方向性が定まるので、ブレがなくなる
●早い段階で認識が一致するので、話し手と聴き手のブロックが小さくなる
●嘘、ごまかし、言いくるめ、言い訳が起こりにくくなり、信頼されやすくなる
●話している最中に緊張しても、迷いが出ても不安になりにくくなる
以上がプレゼンの基本である。
昨年からコロナの影響でリモートでプレゼンをする機会が増えている。
これまで以上にプレゼンの基本を押さえる必要が出てきているのではないだろうか。
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