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2021年2月 7日 (日)

明解経済理論入門/高橋洋一

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 日銀(日本銀行)の職務は「物価の安定」だ。つまり、日銀の金融政策はすべて、「物価の安定」のために実施されているということだ。
 では政府はどうか。 政府に求められることは、日銀よりずっと多岐にわたる。だが、つまるところ「雇用の安定」を達成すれば、連鎖的にほかのニーズも達成されることが多いと考えていい。
 したがって、政府が行う政策の多くは、「雇用の安定」のために実施されているといえる。

経済理論には、

①主にデータ分析によって、現実社会で起こっている現象を「普遍的な法則」として説明すること

②さまざまな手段の打率のいい「根拠」となること

これら、大きく2つの役割がある。 

物事には、まず目的がある。

その目的を達成するために手段があり、手段の根拠となるのが理論だ。

経済政策は政府や日銀がそれぞれの目的を達成するための手段で、財政政策と金融政策の2種類がある。

経済理論は経済政策におけるフレーム。

数ある経済理論の中でも、もっとも重要といえるのは、「オークンの法則」だ。

では「オークンの法則」で何がわかるのか。

結論からいえば、「なぜ国は成長を目指すべきなのか」がわかる。

経済成長率が高くなれば、失業率は下がる。

オークンが発見したように、一国の経済成長率と失業率には負の相関がある。

つまり、国が成長すればするほど、その国の失業者は減るといっていい。

裏を返せば、仕事がなくて食えない人を減らすためには、国を挙げて継続的な経済成長を目指すこと、これに尽きるというわけだ。

経済成長すると国が豊かになって、国民の所得も上がるというメリットもあるが、これは、いわば副産物に過ぎない。

では経済成長の主産物は何かといえば、失業者が極限まで減ることなのだ。

経済成長は、国民すべての所得を増やすことになる。

つまりパイが大きくなるため、弱者を助ける分配問題でも解決が容易になるのだ。

経済成長を否定するというのは、失業率の上昇を肯定するのと同じだ。

成長を忌み嫌う人たちは、「豊かさなんていらない」というのだろうが、オークンの法則から豊かさの減少は失業者の増加を意味する。

国民に対する国の責任として、経済政策で最優先される目標は、食えない人を最小限にまで減らすこと、つまり「失業率を極限まで低くすること」である。

経済成長と人類共通の課題は、まったく相反するものではない。

経済力とは、国の基礎体力のようなものだ。「衣食足りて礼節を知る」ともいう。

むしろ安定して経済成長し続けてこそ、国家としてより成熟し、それこそ環境問題のような人類共通の課題にも着実に取り組んでいけるのである。

「経済成長=一部のお金持ちだけが富を独占する」というのは、まったくロジカルではなく、イメージに過ぎない。

成長率と失業率の相関性を示すオークンの法則に加えて、もう1つ、まず知っておきたい重要理論がある。

それが「フィリップス曲線」だ。

フィリップス曲線は「物価と失業率の相関性」を示す。

つまり、フィリップス曲線は、失業率のもう1つの指標といえる。 

物価が上がれば、失業率は下がる。

この法則もオークンの法則と同じ、経験則だ。

物価上昇は、より経済活動が活発になった結果である。

そして経済活動が活発というのは、つまりビジネスが盛んに回っているということであり、仕事がたくさん増えて人手不足になる。

だから物価が上がっているときには、失業率が下がるのだ。

この相関性をグラフで表現したものが、フィリップス曲線である。

オークンの法則とフィリップス曲線の2理論をもって、経済成長率が上がり、物価上昇率が上がると、失業率が下がるということが一目瞭然だ。

つまり現在起こっているいることは、全て経済理論によって説明がつくということだ。

逆に言えば、今の日本、理論を無視した感情的な議論が横行し、国民をミスリードしているということではないだろうか。

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