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2021年2月15日 (月)

【図解】ピケティ入門/高橋洋一

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 世界の成長率は現在の3.5パーセント弱から徐々に減少し、21世紀後半には1.5パーセント程度になると予測される。また、国民所得に占める貯蓄率は長期的には10パーセントで安定するとピケティは推計する。

ピケティは、世界的な傾向として、一部のトップ層に富や所得が集中し、「持てる者」と「持たざる者」の格差が広がっていることに、強い懸念を示している。

ピケティは、20カ国、300年分ものデータを集積し、じつに壮大なスケールで富や所得の歴史を詳説、我々が生きている世界の格差のあり様をもあぶり出す。

そして、格差の現状をとらえるのみに留まらず、格差是正のために何をすべきか、ということにまで踏み込んでいる。

ピケティに終始一貫しているのは、まず「データありき」で、そこから世界的な傾向を読み解く姿勢である。

すると、今後の推計も立ちやすく、我々がどのような未来を選択したらいいか、ということも見えてくるというわけだ。

欧米のGDPシェアは、1950年ごろをピークに徐々に下がり、2012年にはざっと50パーセント強にまで下がっている。

これは今後も下がりつづけると予測される。

それはなぜか。

ひと言でいえば、産業革命以来、発展してきたテクノロジーは、もはや欧米だけのものではないからだ。

欧米は、産業革命以来、手にしてきたアドバンテージをすでに失っており、一方で、テクノロジーを手にした欧米以外の世界が、徐々に追い上げはじめてきたのである。

産業革命以降、拡大してきた欧米―アフリカ・アジア間の格差は、20世紀終盤から21世紀に入って徐々に縮まっている。

今後も、アフリカ・アジア地域の追い上げは続くと考えられ、ますます格差は縮まるだろう。

21世紀末、世界のGDP成長率は、1.5パーセント前後になると予測される。

しかし、日本だけで言えば、このままいくとその予測よりずっと低くなると見るべきだろう。

なぜなら、ここ二十数年間、日本のGDP成長率は、世界最低水準にあるからだ。

2012年の世界GDP成長率は3.5パーセントくらい。

しかし日本は、2014年の時点で1パーセントにも満たない。

ピケティは、歴史的事実として、資本収益率rはつねに成長率gより大きい(r>g)という不等式が成り立つと主張する。

ピケティが「歴史的事実」と断言したr>gの不等式は、何も古代から17世紀に特異な現象というわけではない。

古代から21世紀末までの成長率gと資本収益率rを一つのグラフにまとめると、資本収益率は、つねに世界GDP成長率より高くなる。

平時においては、つねにr>gとなり、格差は広がるのだ。

r>g――これこそが、あの膨大な紙面を割いた末に、ピケティが導きたかった結論なのである。

資本収益率rは、成長率gに勝る。

といっても、ピケティは、資本主義が格差を生み出し、拡大させる諸悪の根源だと断罪しているわけではない。

残念ながら、資本主義は、格差を広げる性質をはらんでいる。そのことを理解したうえで、意図的に、格差を是正していけるような制度をつくればいいのだと、ピケティは主張しているのである。

ピケティは、資本収益率rはつねにGDP成長率gに勝るため、放っておけば格差は拡大しつづけると結論づけた。

「格差拡大」という、みんなが何となく感じていたこと、また、経済学者の間ではすでに共通認識だったことを、ピケティは、膨大なデータとともに明るみに出したのである。

ピケティの「21世紀の資本」は700ページを超える分厚い本だ。

当時、多くの人が途中で挫折したという話をよく聞いた。

むしろ、本書を読むとよく理解できるのではないだろうか。

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