繁盛店に「職人」はいらない/坂東誠
「うまい!」だけではお客さんは来ません。
おいしさだけ追求しても、残念ながら結果はついていきません。
お客さんにどう認識されたいのか?
まずはそこを見極めることです。
経験上言えることは、「飲食店が繁盛する理由に、資本力や立地条件はほとんど関係がない」ということ。
いくらおいしい料理を作り出すことができても、人が集まる〝きっかけ〟となるメニューをつくれていないと、お客さんは店に来てくれない。
それをつくり出すために、斬新なメニューや腕のいいシェフは実は必要ない。
お客さんにとってはその〝接点〟だけがすべて。
その〝接点〟をたどってきたお客さんに「いいね!」と思ってもらうために、具体的なメニューづくりの前に深掘りしておいてほしい、3つのステップがある。
ステップ1 あなたのミッションは? ~何のために生きていますか?~
ステップ2 あなたは何屋さん? ~お客さんからどう認識されていますか?~
ステップ3 「だから、何?」を突き詰める ~お店に来たお客さんはどうなりますか?~
彼らは実は、その料理自体が欲しいわけではない。
空腹を満たしたいのなら、他にも選択肢はたくさんある。
その中であなたの店をあえて選ぶのは、メニュー以外の目的があるはず。
つまり、飲食店を繁盛させるためにあなたが行う仕事の半分は、お客さんがお店に来るための〝きっかけづくり〟。
お客さんたちは料理を食べに来たり、お酒を飲みに来たりするためだけに来店するわけではない。
食事を通して、他人とのコミュニケーションを取りに店にやってくる。
おいしいメニューを出す技術や能力は、長くやっていれば自然に身に付く。
店が繁盛するために必要なのは、あなたの店が「○○の店」だと認識されること。
お客さん自身があなたの店で楽しむ光景がはっきりと想像できることが重要。
そのためには、来店理由を絞り込み、そこから見えてくるお客さんのニーズに見合った情報発信のみを続けていくこと。
お客さんは得をするから、来店する。
来る理由(得)がない店には来店しない。
そして、知らない店には来店しない。
ここで必要なのは、ストーリー。
お客さんがお店に入ってきて、メニューを見て注文して、食事を楽しんで退店するまでの流れをイメージしてみる。
なるべくメニューの数は限定し、さらにキーワードがはっきり頭に入ってくるようにストーリーをつくってあげることが大切。
キーワードにあたるのは〈売り〉と〈おすすめ〉。
それはこんな具合。
メニュー1 「先ずは食べる価値あり!」
メニュー2 「これが当店名物!」
メニュー3 「〆はこれ食べてみて!」
お客さんが店に来てくれるということは〝当たり前〟のことなのではなく、店とお客さんの〝人間関係〟、つまり人と人とのつながりができて初めて可能になること。
そのことを、今回のコロナショックは逆説的に私たちに教えてくれている。
お互いに人としてのつながりがなければ、コロナショック後の時代は飲食店営業が成り立たなくなるのかもしれない。
店にとっての最高の評価は、〝お客さんの次回のご来店〟。
次のご予約をしてもらうためにはどうしたらいいか?
それを考えることが、これからの時代にはますます重要になるのではないだろうか。
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