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2021年2月 2日 (火)

機会損失/清水勝彦

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 本当に重要なことは、目に見えないことが多いのです。特に、「何かをやること」のコストとリターンはよく見えますが、それによって見えなくなること、つまり、「やらなかったこと」や「できなくなったこと」がより重要であったりするのです。これが機会損失です。

機会損失を一言でいえば、「得べかりし利益」。

機会損失の本質的な問題は、「見えない」ことにある。

結果として、気をつけようと思っても、目の前の案件やプロジェクトに気を取られ、「もしこの案件に時間を取られなかったら何ができるか」とか「他により重要な案件はないのだろうか」ということにまでなかなか注意が行き届かない。

機会損失を考えるとは、意思決定の基準、価値観を考えるということにほかならない。

自分、自社がどの目的を、どの時間軸で達成したいのか、そのためには限られた資源をどう配分したらよいのか。

目に見えること、結果がすぐ出ることにどうしてもとらわれてしまいがちな私たちの頭のどこかに、機会損失の概念を持つことで、より戦略的な意思決定と行動ができるはずだ。

戦略とは、ある一定の目的を達成するために、ターゲット顧客を絞り込み、自社固有の強みを用いて、競争相手よりもより安い、または、より価値のある商品・サービスを提供する(差別化する)ための将来に向けた計画である。

差別化を実現するための資源配分とは、本当は投資をしたい事業だけれど、より優先順位が高い事業に振り向けなければいけないから、泣く泣く諦めること。

一見、投資を諦めてチャンスを逃すことが「機会損失」のように見えるが、ほとんどの場合、多くのチャンスに目がくらんでどのチャンスも生かせないという「機会損失」であることが現実。

戦略実現には痛みが伴う。

痛みがないことは、将来より多くの損失を生むリスクをはらんでいる。

戦略立案の一般的アプローチは「3C分析」、つまり、顧客(Customer)、競合(Competitor)、そして、自社(Company)の分析から始まる。

顧客で言えば、セグメントごとのニーズ、購買行動の違いや成長性を分析することを通じてターゲット顧客を検討する。

競合に関しては、その強みと弱み、そして今後の動向などを調査する。

特に、業界の垣根が非常に曖昧になりつつある現在、これまでの競争相手と今後の競争相手が必ずしも同じでないことにも気をつけなくてはならない。

さらに、差別化をするためには自社にどのような資源があり、どのような強みがあるのかをはっきりさせるのは当然。

機会損失は、外部環境のせいだけでなく、内部(自社、自社員)のことを十分知らないことによって起きることが多い。

戦略とは、やりたいことのリストではない。

リスクのない戦略には、その結果として差別化もリターンもない。

「肉を切らせ」ないで「骨を断つ」ことができれば、そんな嬉しいことはないのだが、そんな素晴らしい案があれば誰もがやろうとするだろう。

戦略は差別化。

差別化をするためには、差別化できるところに資源を集中投資しなくてはならない。

しかし、あれもやる、これもやるということになれば、資源は分散し「総花的」になって、何も達成できないことが起こる。

しかも、多くの場合、目の前に見えることよりも、見えないことのほうが大切であったりする。

短期的で表層的なものほど見えやすい、逆に中長期的、根本的なものほど見えにくい。

そして、「見えるもの」は誰にでも見えるのであり、「見える」範囲で差をつけることは難しい。

機会損失の本質は、本当はそこにあるのに、見えていない、見ようとしないところにあるのかもしれない。

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