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2021年2月28日 (日)

クソ野郎撲滅法/ロバート・I・サットン

I

 思うに、このタイトルにここまでみんなが神経をとがらせるのは、卑劣な連中をあらわすのにあまりにぴったりすぎるからではないだろうか。実際、中身を読む前からたいていの人は本書の内容をかなり正確に予測できる。

本書の要点はシンプルだ。

私たちがこの地上で与えられた時間には限りがある。

だからこそ、人をおとしめるような嫌な人間に出会うことなく人生を過ごしたい。

そういう人間を叩き出すこと、あるいは他人の尊厳を奪っている連中に、それを教えることが本書の狙いである。

著者のいうクソ野郎とは、

・基準その1――その人物と話したあと、標的になった側が委縮し、侮辱されたと感じ、やる気を吸い取られるか、あるいは見くびられたように感じるか。とくに、標的自身が自分のことをダメ人間だと思い込んでしまったかどうか。

・基準その2――その人物が自分より立場が上の人間にではなく、下の人間に狙いを定めているかどうか。

すべての組織に「クソ野郎撲滅法」が必要なわけは、嫌なやつというのは被害者だけでなく、周囲の人々、組織のパフォーマンス、そして加害者自身にも甚大な被害を及ぼすから。

熱心に、そして効果的にクソ野郎撲滅法に取り組んでいる職場では「従業員の仕事ぶり」と「他人への態度」は別物ではない。

「才能豊かな最低野郎」「優秀なクズ野郎」「クソ野郎とスーパースター」といったフレーズは矛盾した語とみなされるし、一過性のクソ野郎も即座に処罰される。

そして、彼ら自身もただちに自分の行動をふり返り(あるいはふり返るように言われ)、美化したり正当化したりすることなく、謝罪し、反省し、許しを請い、変わろうと努力する。

真のクソ野郎が何度も見過ごされたり、許されたりすることはない。

態度を改めるか、さもなければ追放される。私が働きたいと思う数々の職場では、たとえどれほど優れた技能を持っていようと、普段から他人に害をもたらすような人間は、無能だとみなされるのだ。

クソ野郎撲滅法に真剣に取り組んでいる組織は、従業員だけでなく、顧客、クライアント、学生、そのほか仕事で遭遇するすべての人々にこのルールを適用している。

なぜなら、従業員はいじめにさらされるべきではないし、顧客は卑劣漢に対して気前よくお金を支払ったりしないし、慢性的な嫌がらせが放置されれば、触れたもの全員に感染して侮辱的な文化が生まれてしまう。

ミシガン大学のカール・ワイクは「自分が正しいという前提で戦うこと。そして自分が間違っているという前提で耳を傾けること」と助言している。

どれほど思いやりのある善人であろうと、組織のトップになれば、傲慢で、無神経で、自分勝手な卑劣漢になってしまう可能性がある。

人間の団体について調査したケルトナーの研究によると、こうした団体のなかでは、協調性があって、自己主張が控えめな者がリーダーに選ばれる傾向が高いという。

だが、ひとたび権力を手にすると、たとえいい人であっても、自分勝手な卑劣漢になることが多く、彼らが不安や無力感を覚えたときに、問題はさらに悪化するとケルトナーは結論づけている。

要するに、クソ野郎は己を知れということではないだろうか。

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